2022年07月19日

不動産売却時にかかる費用をやさしく解説

不動産を売却する時には、様々な諸費用が掛かります。

しかし、それを知らずに実際に売却する手続きを進めると、不動産会社から当初聞いていた売却予定価格と実際の手取りの価格が大きく違うなんてことも起きかねません。

そのようなことが起きないように、弊社では手取り価格を前提にした査定を行っています。

今回は、不動産の売却時にかかる費用について複雑な税金もまとめてご説明します。

1 不動産売却時にかかる費用

一般的に不動産売却時の費用は、売却する不動産価格の4~6%が目安となります。
不動産を売却する時にかかる費用は以下の表のとおりとなります。
〈不動産売却時費用一覧〉
支払う時期 費用の目安
譲渡所得税 確定申告後 長期保有にあっては軽課、短期保有にあっては重課
居住用財産、買換え、優良住宅地の造成等の譲渡(売却)の場合、特例あり
住民税 確定申告後
仲介手数料 契約、引渡時に50%ずつ (売却価格×3%+6万円)+消費税
※400万円以上の速算式
印紙代(印紙税) 売買契約書類作成時 200円~48万円
※売却金額で異なる
抵当権抹消費用(登録免許税)
司法書士手数料
契約終了時に精算 登記費用と司法書士への手数料
その他にも、引っ越しが必要な場合は、引っ越し代や確定申告を税理士に依頼する場合の委託費用が掛かります。
また、住宅ローンの一括返済を行う場合は、金融機関によって手数料が0~3万円程度かかることもあります。
さらに、敷地の境界が確定していない土地を売却する際は、確定測量を行う必要があります。測量費用は、土地の形状や広さによって変わりますが、20万円~30万円程度を見込む必要があります。

ちなみに、

【引っ越し代の相場】

単身者(50㎞未満の同県程度)5万円程度

4人家族(50㎞未満の同県程度)15万円程度

13月の年度末は繁忙期で高くなり、4月以降は価格が下がる傾向があります。

 

【確定申告を税理士に依頼する場合の委託費用の相場】
3万円~5万円程度 

2 譲渡所得税及び住民税

個人が土地や建物などの不動産を売却し、利益(譲渡益)が生じた場合には、その利益に対して、所得税と住民税がかかります。
この課税対象となる利益のことを税法上「譲渡所得(金額)」といいます。
土地や建物などの不動産を売った場合の税金は、まず「譲渡所得(金額)」を正確に計算することから始めます。そして売却した不動産の所有期間の区分(5年超か5年以下か)に応じた税額計算によって、実際に納める税額を計算することになります。

Point
  • 譲渡所得税は、譲渡(売却)した際に発生する利益(譲渡益)の部分に課税される税金
そのため、不動産を取得した際の費用や仲介手数料などの譲渡費用、そして居住用財産などを売った場合の特別控除などを差し引くことができます。

課税譲渡所得金額 = 譲渡(売却)価格 - 取得費 - 譲渡費用 - 特別控除

  • 譲渡所得金額を計算したのち、売却する不動産の所有期間に応じた税額を計算
長期譲渡所得(所有期間5年超)20%(所得税15%・住民税5%)+復興特別所得税として所得税額の2.1%
短期譲渡所得(所有期間5年以下)39%(所得税30%・住民税9%)+復興特別所得税として所得税額2.1%
【譲渡損失が生じた場合】
不動産を売却して、必ずしも買ったときよりも高く売れるとは限りません。
赤字(譲渡損失)が出た場合、現在は過去に認められた損益通算(譲渡損失と給与所得などの他の所得との差し引き)と青色申告者に認められていた3年間の繰越控除がありません。

よって確定申告時には、単純に譲渡所得金額がマイナスであり、不動産売却にかかる譲渡所得税と住民税がかからないということになります。

ただし、一定の要件を満たす住居用財産の譲渡損失については他の所得との損益通算と繰越控除の適用が認められる場合があります。(くわしくは、当社までお問合せください
【譲渡所得の申告手続き】
譲渡所得がある場合は、翌年の315日までに税務署に申告し、税金を納める必要があります。この場合の申告書は所得税の確定申告書B(第一表、第二表)及び第三表(分離課税用)を用います。そのほか譲渡所得の計算明細書、特例を受けるときは特例ごとの定められた書類を提出する必要があります。

ご自身で確定申告をすることが難しい場合は、税のプロである税理士に任せることが良いでしょう。 
【実際のケース】
熊本市に住宅を持つAさんが20224月に熊本市の土地、建物を3,500万円で売却しました。
譲渡費用は150万円、購入時の取得費が3,000万円でした。
購入時期が201610月の場合(長期譲渡所得)と20171月の場合(短期譲渡所得)の所得税等の金額は下記の通りとなります。
長期譲渡所得の場合 短期譲渡所得の場合
課税譲渡所得金額 3,500万円-3,000万円-150万円=350万円 3,500万円-3,000万円-150万円=350万円
所得税額 350万円×15%=525,000円 350万円×30%=105万円
復興特別所得税額 525,000円×2.1%=11,025円 105万円×2.1%=22,050円
合計所得税額 536,025円⇒536,000円 1,072,050円⇒1,072,000円
住民税額 350万円×5%=175,000円 350万円×9%=315,000円
合計税額 711,000円 1,387,000円
上記のとおり、長期と短期では税額が大きく違います。
不動産は長期保有(5年以上)の方が税金的には有利となります。
売却を検討する際は、所有期間を確認しましょう。
【長期と短期の区分の注意点】
不動産の所有期間を算定する際には注意が必要です。
それは、所有期間は不動産を購入してから売却する日までの期間ではないということです。
所有期間を算定する際には、取得した日から、譲渡する年の1月1日までの期間で算定します。
2022年5月に不動産を売却する場合は、2022年1月1日までの期間となります。

したがって、2017年4月にその不動産を購入していた場合は、5年以下となり短期保有となります。
この場合、5年超となるのは、2016年12月31日までに購入した不動産が長期保有となります。
 
よって、仮に2023年1月1日時点で長期保有となる不動産を所有していて売却を検討しているならば、2022年12月31日までに売却するよりも、2023年1月1日に売却した方が、納める税金の額を大きく削減することができます。
同じように、不動産を購入する際にも、12月末までに売買契約を結ぶか引渡しを受けることで、翌年1月に購入するより1年早く5年を迎えることができます。

たった1日の差ですが、1年の差が生まれるので、知っているかどうかで大きな差が生まれます。
また、贈与や相続による取得は、取得時期を引き継ぐこととされていますので、相続の場合はご安心ください。

3 仲介手数料

仲介手数料は、不動産売却や購入時に不動産会社に支払う手数料です。
この仲介手数料は、お客様の不動産を安全かつ安心に取引できるよう様々な調査を実施し、滞りなく取引が成立するよう仲介を果たしたことへの報酬となります。
一般的に売買の仲介契約を結んだ際に支払いとなり、不動産の売買契約を締結した際に50%、不動産の引渡しが完了した際に残りの50%となります。
不動産売買の仲介手数料(上限)は法律で定められています。
そして、一般的にはその法律で決まられた価格に相応する額を計算するために速算式という計算方法で価格を算出します。
不動産売買価格 仲介手数料
200万円以下の金額 (売買価格×5%)+消費税10%
200万円超400万円以下の金額 (売買価格×4%+2万円)+消費税10%
400万円超の金額 (売買価格×3%+6万円)+消費税10%
ちなみに、+2万円、+6万円は何かというと、法律に示された通常の計算を行う場合と速算式で計算する場合のズレを補正する調整額となります。

したがって、速算式で仲介手数料を算出する場合には、この調整額を足すことで、法的に定められた金額と同じ金額を導き出しています。

4 印紙代(印紙税)

不動産の売買契約書を取り交わす際には、必ず印紙を貼り消印をします。これにより印紙税の納付を行うことになります。
売買契約書は通常2通作成し、売主と買主双方が保管することになりますが、この2通の契約書にそれぞれ印紙を貼らなければなりません。
もし、どちらか一方の契約書に印紙を貼らなかったときには、売主と買主が連帯して納付する義務を負うことになるのでご注意ください。

実際に契約書に貼る印紙の額は下記の表のとおりとなります。
契約書の種類と記載された金額に応じて印紙税額が定められています。

〈不動産の譲渡に関する契約書等の印紙税額表〉

契約書記載金額 不動産の譲渡(売買)に関する契約書 借地権の設定や譲渡に関する契約書
住宅ローン等の金銭消費貸借契約書
1万円未満 非課税 非課税
1万円以上10万円以下 200円 200円
10万円超50万円以下 200円 400円
50万円超100万円以下 500円 1千円
100万円超500万円以下 1千円 2千円
500万円超1,000万円以下 5千円 1万円
1,000万円超5,000万円以下 1万円 2万円
5,000万円超1億円以下 3万円 6万円
1億円超5億円以下 6万円 10万円
5億円超10億円以下 16万円 20万円
10億円超50億円以下 32万円 40万円
50億円超 48万円 60万円
金額の記載がないもの 200円 200円
※2014年から2024年3月31日までの軽減特例額
参照:国税庁 不動産売買契約書の印紙税の軽減措置 

5 抵当権抹消登記費用と司法書士手数料

不動産の売却時に住宅ローンが残っている場合は、ローン残高を精算し「抵当権抹消登記」が必要になります。登記の際には登録免許税(不動産1件につき1,000円)を納めなければなりません。
土地と建物に抵当権が設定されていれば、2,000円となります。

不動産を購入する際には、不動産の所有権を行使するために、不動産の所有権を変更する「所有権移転登記」を行いますが、一般的に権利を行使する側である買主が負担します。この移転登記を行う際には登録免許税が発生し、固定資産税評価額に税率を掛けて算出します。
※売買等の税率は原則2%ですが、評価額2,000万円の建物だと40万円程度かかり、不動産を購入する際は結構な出費となります。

そして、この一連の手続きは、一般的に司法書士に依頼するため、その委託手数料が必要になります。

6 不動産売却時にかかる費用を抑えるコツ

不動産の売却を人生で何度も経験する人はまだまだ少数である中、慣れない大きな金額が動く不動産売却。出来るだけ手取り額を増やしたいものです。
ここでは、その費用を抑えるために知っておくべきことをお伝えします。
  • 「特例」を使って納税額を抑える
居住用住宅(自分が住んでいる家や相続した空き家など)の場合は3,000万円の特別控除あり!
居住期間10年以上等一定要件を満たしていれば、特例あり!
また、不動産の保有期間を長期保有で税率を軽減!
  • 売却力と相場を熟知した誠実な不動産会社に仲介を依頼する
価格を設定しインターネットに掲載して買主を探すだけであれば、誰でも出来る事ですが、明確な販売計画を準備し、きちんとした戦略を立てて、売却までのストーリーを明確に持った「売却力」が高い不動産会社だと、より高く早く売れる可能性が高くなります。

そして、相場を熟知した価格設定を行う不動産会社がより誠実でお客様目線にたっていると言えます。
複数の不動産会社に不動産の査定を依頼すると、高額な査定結果を出す会社もありますが、実際にその価格で不動産が売れるとは限りません。
実際の周辺相場からかけ離れている価格設定では、買手が付かず長期間市場に出ることになり、値下げ交渉などが多くなる場合が多くあります。

結果として、査定価格が低いところと変わらないもしくは、それ以下でしか売れなかったという事になりかねません。
もちろん不動産会社の経験によって、相場より高い価格設定で売却できる事例もあります。
どちらにせよ、常にお客様目線で自分事ととらえ、お客様の目的に合わせて利益を追求する誠実さが重要になってきます。

まとめ

不動産を売却する際には、様々な費用がかかります。
特別控除や特例税率など税金については、複雑で具体的事例に基づき、かかる税金を計算せざるを得ません。
しかし、前記の通り、一定の知識を持てば、必要以上の税金を支払う必要が無くなりますし、様々な費用が掛かったとしても最終的に手取り金額を増やすことができます。
より良い不動産取引を実現するためにも、あらかじめ不動産売却時の費用について知っておくことは大切なことです。

実際に売却を希望するお客様は、ぜひご相談ください。
より詳しい説明をさせていただきます。
ページの先頭へ