2024年08月28日

持分なしの私道に接している物件の売買について

はじめに

皆さんのご所有の物件はどのような立地にありますか?
平坦地だったり、高台だったり、海が見える等様々かと思います。

そんな中でも住宅において重要な要素を占めるのが前面道路です。
税金でも路線価という名前の通り、前面道路の状況によって不動産の価格の指標となっています。

ではその前面道路は誰の所有になっているか?どんな道路なのか考えた事はありますか?
不動産の売買には前面道路の状況が非常に大事になってきます。
 
今回は普段気にせず通っている道路について少しお話しをしようと思います 
道路には

・公道(国道●●号線や県道、市道など国や県、市で維持管理しているもの)
・私道(個人が所有地の中に作り、個人で維持管理を行っているもの)

があります。

公道は誰でも関係なく通る事ができます。反対に私道は所有者の許可が必要になります。
細い路地等で「この先、私道につき進入禁止!」のような看板を見かけた事がある方も多いと思います。
 
私道でもその道路に接している皆さんで共有名義で持たれているという道路も多いです
その場合は前面道路の登記簿には持分●分の▲のように所有者の氏名が記載されており、土地建物を売却する場合には道路の持分も一緒に売買することで、大きく問題になる事は少ないと思います。

先日お取引をさせて頂いた物件は私道に接していましたが、ご自身では道路の持分をもっていない状態でした。
この状態で不動産の売買を行うと道路所有者から「通らないでくれ」と言われてしまうとせっかく買った物件に入れなくなってしまいますし、そのような状態で買う方も稀だと思います。このような場合は道路所有者から「通行承諾」をもらい、一緒に売買するという方法が一般的です。 

実際の事例

ご自身が私道所有者と関係性が深く、お話しできる状況であればスムーズに通行承諾を頂く事ができるでしょう。
そうではない場合は一般的に弊社のような不動産会社が代わりに動く事が多いです。売主様のご協力が必要になる場合も多いので信頼のおける不動産会社に任せるようにしましょう。 
今回の弊社でのお取引のあった事例では前面道路に売主様の持分が無く、分譲当時(約40年程前)の地主A様が道路部分をお一人で所有されている状態でした。(他同私道に接している物件が数件有)

弊社では A様を訪問させて頂き、今回の売買の件を伝え、A様より私道部分の通行承諾を頂けないかとのお話しをさせて頂きましたが、A様は通行承諾は出せないとの事でした。色々とお話しを聞いていると分譲当時に近隣トラブルがあったようで、そのトラブルは現在も解消しておらず、その状態では通行承諾は出せないとのご意向でした。

弊社としては正直困りました。過去にこのような事例が無く、これまではスムーズに通行承諾を取得できていたからです。  何度かA様を訪問してみたもののよい返事は得られずに時間が過ぎていきました。
何度かA様とお話しをする中で過去の状況が少しづつ見えてきました。
 
今回の私道の先にA様の所有する土地があり、当初の予定ではその所有地に私道が繋がる予定でしたが、当時の販売業者の不手際により、私道がA様所有地の手前で止まってしまい、A様は所有地に行けなくなってしまったとの事。
A様は通行承諾を出すことで、私道に接している他物件の所有者からも同様の申出があった場合にA様所有地へ道路を繋ぐという目的が達せられなくなる事を懸念しているようでした。 

上記内容から現段階で通行承諾の取得は難しいと考え、別の方法を考える事になりました。
 
その方法は「私道の持分を一部譲ってもらう」事でした。これが出来れば売主様も私道所有者になりますから通行承諾は必要ありません。 幸いな事に今回の売買予定地は庭先部分がA様の所有地に隣接しており、私道の持分と同程度の敷地(約10㎡)をお互いに売買する事でお話しが出来ないかと考えました。
上記のお話しをA様に掛け合った所、「その内容であれば構わない」と私道持分と敷地の一部の売買(交換)契約を了承頂く事ができました。庭先の分筆登記は売主様負担、分筆後の敷地、道路持分の移転登記は売主様、A様両方にて負担という事で着地点を見つける事ができ、不動産の売買を無事に完了となりました。

まとめ

タイトルに戻りますが、持分のない私道に接している物件の売買は可能です。

間違えないように記載をしますが、可能、不可能の話で言えばどんな物件も売買は可能です。
ただし買う方がいればというお話になります。

その買う方を見つける、確率を上げる、少しでも高く売るために何が出来るかということです。
今回の件に関しても通行承諾や道路持分が無くても売買自体は可能です。
可能ではありますが、購入希望者の間口が限りなく狭くなってしまうので、その為には諸問題を解決しましょうという事です。

持分がない私道に接している場合の解決策は概ね下記の2つです。
①私道所有者から通行承諾をだしてもらう(無償がベストですが、中には金銭が発生する場合もあり)
②私道部分の持分を取得する (手続き費用は別途要)

弊社では物件に諸問題があったり、どこから手をつけていいか分からないと言ったご売却の悩みを解決しております。他社に断られた物件やご自身では解決が難しそうな物件がありましたら是非一度お声を掛けて下さい。
皆様からのお問合せお待ちいたしております 。
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