2024年08月28日

定期借地権設定地で賃料未払いが発生した場合の対処方法

1.はじめに

定期借地権とは、長期的に土地を借りる際に利用される権利形態です。
その中でも、事業定期借地権は、事業を実施することを前提として、企業が地主から土地を定期に借地し、一般的には建てた建物は契約満了時に更地にて返還されるもので、事業定期借地契約は公正証書にて記されます。
 
今回は事業定期借地権を設定した土地について取り上げたいと思います。

事業定期借地権は契約期間が定められており、その期間終了後には土地が貸主に返還されます。
しかし、賃料未払いが発生した場合、固定資産としての土地の価値が損なわれるリスクがあり、
貸主としては、賃料未払いへの対処方法を適切に理解し、迅速に対応することが大変重要です。

本記事では、賃料未払いが発生した際の対処方法について詳しく解説します。
 

2. 賃料未払いが発生する理由

賃料未払いの原因には、借主の資金繰りの悪化や経営破綻、契約内容の誤解などが考えられます。
特に、事業定期借地権契約においては、借主の事業状況が直接的に賃料支払い能力に影響を与えるため、慎重な管理が必要です。
まずは、賃料未払いが発生した原因を把握することが重要です。

3. 賃料未払いへの初期対応

賃料の未払いが発生した場合、まずは借主と迅速に連絡を取り、未払いの理由を確認しましょう。
初期の対応が遅れると、未払い金額が増大し、回収が困難になる可能性があります。
以下の手順を参考に、初期対応を進めてください。
賃料未払い通知の送付
 
まずは、賃料の支払いを求める通知書(賃料未払い通知)を送付します。
この際、支払い期日を明確に記載し、法的な措置が取られる可能性も示唆しておくことが効果的です。
 
話し合いの提案
 
借主が支払い困難な状況にある場合、支払い計画の見直しや分割払いの提案など、柔軟な対応を検討しましょう。
不動産管理の観点からも、柔軟な対応が重要です。

4. 法的手続きの検討

借主が賃料の支払いを拒否、または無視した場合、法的手続きを検討する必要があります。
事業定期借地権の契約書には、未払いが発生した場合の措置が記載されていることが一般的です。
これに基づき、以下の手続きを進めます。
契約の解除:契約書に基づき、未払いが一定期間継続した場合には、契約を解除する権利が貸主に認められることがあります。ただし、契約解除には法的手続きが必要となるため、弁護士の助言を受けながら進めることをお勧めします。契約解除が行われた場合、固定資産としての土地の利用計画を再考する必要が生じる場合があります。
 
訴訟の提起と賃料回収:賃料の回収が困難な場合、訴訟を提起することで、法的に未払い賃料の支払いを求めることができます。訴訟には時間と費用がかかるため、事前にリスクとコストを検討することが重要です。

5. 賃料未払いを未然に防ぐために

未払いの発生を未然に防ぐためには、契約締結時から注意が必要です。
以下のポイントを押さえて、リスクを最小限に抑えましょう。

借主の信用調査:契約前に借主の財務状況や信用力を調査し、リスクを評価します。不動産トラブルを避けるためにも、信用力の低い企業との契約には慎重になるべきです。
 
保証金の設定:賃料未払いのリスクを軽減するために、保証金を設定することも有効です。保証金があることで、未払いが発生した際の損失を一部カバーできます。

最も有効な方法は、家賃債務保証会社を入れることです。
弊社の管理物件では、すべての契約に家賃債務保証会社との契約を条件としており、結果として、本記事に関わる事象が生じたとしても、より安全かつ迅速な対応を行える体制を敷き、高いレベルで安心と安全を提供しています。
ただし、原状回復については、借主が破産した場合など個別に管財人と協議する必要がある場合がありますが、管財人との折衝についても管理会社としてアドバイスを行います。
 
全般としてのリスク軽減になりますので、この点は、別記事でも記載した不動産会社に管理を任せるメリットであります。 

6. まとめ

事業定期借地権設定の土地における賃料未払いは、貸主にとって重大なリスクとなり得ます。
迅速な初期対応と法的手続きを通じて、問題の早期解決を図ることが重要です。
また、契約時からリスク管理を徹底することで、未払いの発生を防ぐことができます。
土地オーナーとして、賃料未払い相談を通じて、より安心して土地を貸し出すことが可能になります。

そして、本来このようなケースは、管理会社にて管理を行っている物件の場合は起こりにくい事案です。
契約の期間、契約の内容をしっかり把握し、適切な時期に適切な対応を行うことが重要であることから、
不動産管理会社に任せることは、そのリスクを最小限に抑える方法となります。
加えて、家賃債務保証会社との契約を条件にするなど、より安全策を講じて資産を守ることが重要となります。 

7. お問い合わせ

賃料未払いに関するご相談や詳細な対策については、当社までお気軽にお問い合わせください。
経験豊富な専門スタッフ及び顧問弁護士の意見を基に、最適な解決策をご提案いたします。
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